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老け込みの程度をあらわすのは非常にむずかしくって、
内臓年齢や骨年齢、顔のしわ、髪の生え具合などから、老化度の指標などをみる方法がいろいろ試みられていますが、いずれも長生きの目安にはなっていません。
そこで、2009年に、デンマークのクリスチャンセン教授らは、顔写真から見かけの年を定め、
それが若いと長生きにつながることを科学的に明らかにしました。
------------その場合の見かけの年はどのようにして決めるのですか。--------
それは70歳以上になられた双子を1000組、2000人について顔写真を老人科の看護師10人に見せて、決めました。
また、1000組のうちおよそ400組の双子については、バラバラに顔写真を老人科の看護師20人に、若い男性教師10人に、高齢女子11人に見せ、みかけの年を定めてもらいました。
老人科の看護師、若い男性教師、高齢女性の間で、みかけの年の判定に大きな差があるのかどうかについても調べましたが、
3つのグループの人たちが、判定した見かけの年は非常に似ていることがわかりました。
これらの双子は14年間にわたって、身体の働き、握力、知能検査、体内の寿命時計である白血球のテロメア、
(このテロメアというのは、細胞内の遺伝子に付着している長い連続した回数券のような組織で、細胞分裂をするたびにきれ、そして短くなってしまうと老いてなくなるといった寿命の目安、回数券で、テロメアが長いほうが長生きできます)
そのテロメアの長さも調べられました。
--------------それで、みかけの年が若いほど長生きできていましたか。------------
たしかに長生きできていました。
双子の人たちについて、実際の年齢別に70歳から74歳、75歳から79歳、80歳以上の3つのグループに分けて、
各グループ内で、みかけの年の若さが寿命に関係するかどうかも調べています。
その結果、たとえば、80歳以上の双子について、見かけの年の老けた人たちに比べて見かけの年の若い人たちでは、なくなられる割合が半分以下になっていました。
男女ともどの実際の年齢のグループ内の人たちでもみかけの年の若い人たちは、みかけの年の老けた人たちに比べて長生きをしておられました。
見かけの年が若い人たちでは握力、知能が高いなど身体や心の働きなども優れていまして、長生きの科学的な指標である白血球のテロメアの長さが長いといった結果もえられました。
---------双子の間でもみかけの年が若いほど長生きしているのですねー。---------------
そのとおりです。
双子の間でも、二人が同じ日に亡くなるということはなく、いずれか片方の人が、より長生きされるものですが、片方の人が、すでに亡くられた二子101組についてみかけの年の差の大きさと長生きの割合とが調べられました。
その結果、二卵性の双子の間で、みかけの年の差がもつとも大きい25組については22組、88パーセントと圧倒的に多数が見かけの年の若い人のほうが長生きをしておられました。
-----その、みかけが若いということは、どういうことを意味しているのでしょうか。--------
年を重ねても老い方の少ない人はみかけの年が若くなるものですが、
重篤な生活習慣病が無いとか、栄養不足、運動不足、大酒飲み、喫煙などの不適切な生活をしていない、記憶力が良い、精神的な落ち込みが無いなどの高齢者では顔つやもよく、はつらつとして若々しく見えるものです。
若々しく見える高齢者は病的老化の道を歩まずに、通常老化の道を歩んでいる人が多く、それが顔にもあらわれ、長生きにつながるといえます。
ですから、年のわりには若いですね、と言われたときには、おせじがはいっているにしても、素直にうけとめて、おおいに喜び、さらに若々しくなるように努力をするのが、長生きにコツといえます。
-----ありがとうございました。
健康長寿コツの4回目、見かけの年が若い人ほど長生きと題してお送りしました。-----
前回はスウェーデンのストックホルム大学のカロリンスカ研究所のリツト(DeboraRizzuto)先生らの研究をもとにして、
75歳以上の高齢者が、さらに長生きをする生活のコツについてお伝えいたしました。
それによりますと、まず、4つのポイントがあります。
1.体重維持、やせすぎないということですね。体重維持、
2.禁煙、たばこをすわない、これはよく言われることです。
3.ほどほどの飲酒、お酒はほどほどにしましょう。これもよくいわれることです。
4.4つのレジャー活動を行う。それは、
@知的活動、これは例えば本や新聞を読んだり、書いたり、それから学んだりという知的活動。
A身体活動、水泳をしたり、歩いたり・・・、運動や訓練などをおこなったりという、身体活動。
B社会活動、
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これは、観劇、劇を観たり美術や音楽鑑賞をしたり、小旅行に出かけたり、トランプゲームをおこなったり、トランプに限らずゲームなど仲間や友達といつしよに交流して頭を使って、わいわいお話をしながらゲームなどを楽しむということです。 |
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C生産活動、庭つくり、家屋の維持、料理、仕事につく(就業)、ボランティアなどの生産活動。
これらが長生きには効果的である、とお伝えしました。
---------------それでは、最終回のお話にまいりましょう。-------------
お話は、東京都リハビリテーション病院の林泰史さんです。-------------
健康で長生きするために、と題してお伝えします。
----今回のシリーズでお話いただいた長生きのコツついての海外の研究は日本人にも役立つと考えてよいのでしょうか。---
役立ちます。アメリカ、ボストンや北欧からの報告はいずれも社会生活をおくる上で実践できる長生きのコツですが、日本で言われてきた長生きのコツとしては病気の予防や検査値の改善が中心となっていました。この点では70歳、75歳の高齢者でも禁煙、生活習慣病対応、椅子に座りかちな座椅子生活、これらを避けることに加えて生産的な活動、外出しての交流、若々しい顔立ちが長生きのコツであるだけでなく、心身の健康を増すのにも役立つということを明らかにした海外の報告は新たに視点といえます。
-----あらためて日本の研究では、元気で長生きのコツとしてどのようなことがあげられているのでしょうか。--------
私が勤務していた東京都老人総合研究所では高齢者およそ3000人を長期間調査をして、わかったことを元気で長生きの10か条としてまとめております。
1.血液中の蛋白質の約6割を占めるアルブミン、このアルブミンは筋力を増して、内臓を健康にするのに役立ちますが、この血中アルブミン値が高いこと、
2.総コレステロール値は高すぎ、低すぎないこと、
3.足が丈夫であること、
4.自分は健康であると思っていること、
5.少し前のことをよく覚えていること。
6.太らず、やせすぎないこと。
7.禁煙をすること。
8.お酒をほどほどにたしなむこと。
9.血圧は高すぎ、低すぎないこと。
10.外出して会話を活発にすること。
この10か条です。
10か条のほとんどは自分の努力で達成できます。
血液の検査値にかかわるアルブミン値と総コレステロール値との2項目は日本特有の長生きのコツといえます。
自分で健康と思っている、太らずやせすぎず、禁煙、お酒はほどほどに、外出しての会話を活発に、
・・・この5項目は海外からの長生きのコツと一致しています。
足が丈夫、少し前のことをよく覚えているといった2項目は海外からのコツである外出しての食事や生産的な生活の重要性を身体を中心にしてとらえた内容です。
血液中の総コレステロール値や血圧が高すぎず、低すぎずの項目も海外からのコツで、長生きを阻む高血圧、肥満、糖尿病について検査値としてあらわしたものです。
このことから日本の元気で長生きの10か条は海外の長生きのコツとは異なった表現形ですが、本質的には似ております。
海外、国内からの長生きのコツのうち、自分の努力で生活に取り入れられる項目を実践することが大切です。
--------------それから食事をきちんと取ることも長生きには必要なんでしょうね。---------
食事はきちんととってほしいです。
元気で長生きの10か条で、血液中のアルブミン値が高い、総コレステロール値が低すぎない、太らずやせすぎずと栄養不足を危惧しております。
最近メタボ対策が重要視されていますが、欧米人に比べて日本人の肥満度は高くなく、むしろ低いほうです。
日本の高齢者ではむしろ低栄養が健康で長生きをするのを阻んでいますので、会食には必ず参加して出された和食、洋食などは全部食べる、時々は血のしたたるようなステーキを食べるなど積極的な生き方プラス思考の生き方をお勧めいたします。
---------人は誰もが健康長寿で楽しい人生を送りたいと願っていると思います。
そのためには今回のシリーズでお伝えして長生きのコツを高齢になる前から、コツコツと積み重ねていくことが大切なのでしょうね。-----------
たしかに大切です。
日本の高齢者は長生きとともにいつまでも自分の思いがかなえられる健康状態でいたいと願っています。
いい人生だったと思える成功した高齢期、これをサクセスフルエージングといいますが、
サクセスフルエージングの実現には海外の生活様式に基づく長生きのコツに加えて、身体や検査値の様子から述べている元気で長生きの10か条を頭に入れるのがよいと思います。
十分に栄養を採る、適度に動いて社会にでる。
自分は健康だと信じる、それに加えて、できるだけ若々しく保とうとする、これらを組み合わせて健康で長生きのサクセスフルエージングを実現してください。
----------ありがとうございました、健康長寿のコツの最終回、健康で長生きするために、
お話は東京都リハビリテーション病院の林泰史さんでした。-----------------
2014_04_04 5:30〜
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