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どうして輪行するのか。 自転車で体を鍛えながら散策もしたい。ダイエットにもなる。と、新しい自転車を買ってあちこち行くのです。名所旧跡、公園、川沿いの自転車道、急坂、色々目的を作り出して、地図を用意したり、弁当持ったりして散策しますが、いずれ、自宅から半径50キロくらいの範囲はそのうちに行き尽くしてしまいます。(ここまでが第1期) だが、まだモチベーションは高い。頑張って朝早く起きて出かけ夜遅くまで走り距離を伸ばしますと、さらに行動範囲が広くなります。かつて車で走った道も自転車で走るとこれまた新鮮です。尻が痛くてたまらないが、クッションパンツなど履いたりして頑張ります。新しいはじめての道は走って楽しい。 筋力もつき、走り方の要領も覚え、行動範囲はどんどん広くなります。だが、回を重ねるごとにだんだん同じ道を走ることが多くなり精神的に辛くなります。(ここまでが第2期)。 |
そこで、泊りがけにすれば遠くまで行け、新しい道も走れるぞ、という考えが浮かびます。どこに泊まるか、ビジネスホテルにするか、テントにするかなど選択肢は広がります。一日に走る距離も飛躍的に伸び、1日に200km超える距離を走る日もでてきます。地図を広げて「さて、どこに行こうか」と、計画を建てたりしてはボツにし、さらに計画を練り直して、出かけます。地図を買い足したりして、少しずつ行動範囲が広くなります。 しかし、これもまた、繰り返していると、行くときの同じ道。帰り道の同じ道。まるで自転車通勤。この消化試合みたいな走り方が苦痛なのです。どんどんつらくなる。そして出かけるにあたって家族の理解を得るのも大仕事になってきます。 結局、自宅からスタートするからそうなるのです。(ここまでが第3期) 車で自転車を運びましょう。遠くまで車で自転車を運び、車を置いて、そこから自転車スタートです。例えば富士山のまわりの道の駅とか観光地の駐車場に車をとめて、富士山一周などの散策を開始します。元の駐車場に戻りますので、「佐渡いち」とか「琵琶いち」とか「淡いち」など「なんとかいち」をやるとき便利です。この方法だと、自転車もかなり遠くを走ることができます。ただ、これは公共交通機関ではないので「輪行」ではありません。何度か、そんなことしていると、確かに便利ではありますが、「必ず車のところに戻らなければならない」。それに車の渋滞問題が浮かびあがってきます。そして、結局どうがんばっても片道200キロが限度でしょう。これを越えると車の運転がつらい。自転車そっちのけで車の旅行になります。自転車を持っていくメリットがない。 なんとか行きっぱなしでできないか。(ここまでが第4期)。 |
そこで途中電車を使う輪行というスタイルにバージョンアップします。(ここからが第5期)(1.2.3.4.5期といのは私が勝手に付けた番号です) 遠くへ行く時は輪行袋を持って行こう。 遠くの町まで電車で自転車を運んで、駅から走り出せば、見知らぬ土地で自転車旅をすることができるし、好きなところから走り始めて、好きなところで終わることができます。スタート、ゴールは駅という条件ですが、行くところの選択肢は無限に広がります。このころになると家族もあきらめて、とやかく言わなくなります。そこで、時々「いっしょに行く?」とか言って誘ってみます。もちろん「ひとりで行けば」という返事が帰ってくるに決まっています。「よっしゃー」、と、とたんに元気が湧いてきます。 行動範囲が広がると地図もたくさん必要になり、手持ちの分県地図も増えていき、泊りがけで行く時は地図が3冊にも4冊にもなり、持って行けなくなり、ついにGPS機器を買うのです。が、すぐにスマホ地図アプリを使いだします。すると、PCなしでもスマホで走行予定ルート図を作れますので、旅先で次々に新しい走行予定ルートを作って、改良を加え、また作って、そしてさらに遠くへ出かけるのがおもしろくなってくるのです。 遠くへ行っても、輪行という走行方法があれば、アクシデント時、やる気が出ない時、途中で旅をやめ自走以外の方法で帰ることもできます。 また、寄り道したり、迷ったりすると時間的に予定が狂ってしまうことがあります。ロスした時間を取り戻すために輪行という方法が使えます。輪行という自転車と公共交通機関の組み合わせで走る方法です。 実際に輪行をしなくても、輪行できる用意さえしておけば、走る余裕と安心感と走行の選択肢が広がります。雨具を持つと安心して走れるのと同じです。 いつでも輪行できるように、日ごろから、特に長距離サイクリングの時に輪行袋を携行していれば安心なのです。 |
電車輪行は簡単 @基本は電車輪行だけど、あんまりめんどくさいと自転車乗りなんかやめてしまおうと思う。 電車輪行の荷造りは簡単です。前後車輪を取り外し、ペダルクランク部分を挟み込むように固定します。その際、床に置いたときに安定して建つように荷造りします。その後ハンドルを縦に固定します。ゴムバンドでも構いません。多少グラグラしますが、自分で運ぶわけですから、それほど問題ありません。リピートタイプの結束バンドを使えばしっかり固定できます。ディレイラ、チェーンはそのままだと汚れを付けまくりますので何かで包むことです。そしてペダルですが、そのままだと、どうやってもホイールの外につき出ます。これは取り外しが簡単なので、できればとりはずした方が輪行袋にはいりやすいです。 |
基本的に、電車内で自転車を置きやすい場所は比較的乗客の少ない先頭か最後尾車両の車掌席の前です。車両の前後にある壁に持たれかける様に手すりなどのパイプに肩掛けベルトで固定しておけば安定しますし邪魔にもなりません。ただ、自転車は車椅子やベビーカーとは違います。レジャー目的であり、公共交通機関に持ち込む場合、扱いは他の乗客の方々の安全に配慮して細心の注意をはらい、邪魔にならないところに置くべきです。 新幹線の場合は各車両の最後列の座席に座り、その後ろの空間に自転車を置けば管理・運搬に便利です。 乗り降りするときや駅構内を移動するときは電車が着いて人の乗り降りが一段落ついて、人通りが少しまばらになってきたところで移動するとぶつかることなく安全です。最寄りの駅の昇降口が中央であっても電車の一番前かいちばん後ろに乗ることをお勧めします。 Aバスはどうでしょう。 一般的に路線バスや長距離バスに自転車を乗せることはむずかしい。空港経由の高速バス、空港リムジンバスは自転車を乗せられます。 |
B船の場合 フェリーは分解せずに乗船できますので便利です。しかし、走行可能な状態でフェリーに持ち込むのは輪行とはいいません。車輪をはずして乗れなくして運び込めば輪行と言うのでしょう。輪行スタイルで乗船すると、自転車料金を払わなくて済みますが自分で客室まで運搬しなければなりません。こうすれば、フェリー以外の船にも乗船できます。(全部とは言えません。) C航空機輪行は電車輪行と少し違います。 航空機輪行は空港カウンターで荷物を預けた後は扱いを人に任せるわけですので、それなりの心遣いが必要です。 投げても落としても大丈夫なように最低限ディレイラとハンドル、フォーク、サドル、ペダルの4点セットは取り外した方が安心です。前輪フォークとリアディレイラをはずしておけば投げても落としてもたぶん大丈夫でしょう。(「たぶん」です。100%大丈夫ということではありません)。 リヤエンドにはサドルを挟み込み固定します。荷造りした後さらに紐をかけるなどして持ちやすいように作っておくのが礼儀です。そうすれば係の人の扱いも便利で、損傷の確率は小さくなるでしよう。 |
荷造りのための余計なグッズを買い込むと荷物が増え、重くなります。手持ちのもので賄います。 ドロップハンドルをフラットに変えたり、グリップをシンプルなものに変えるなどして軽くする工夫も必要です。 輪行用に梱包した自転車を運ぶのに難儀するところは、自宅から駅までと駅と空港構内の移動のときです。この中で自宅から駅までは車で運ぶことが可能ですし、空港内はカートがあります。残るは駅内の移動、とくに階段の移動を重視した荷造りをしておくべきです。 ハードケース、ダンボールを利用するかどうかは、輪行先での自走の際に荷物にならないか、ケースをホテルなどで責任持って預かってくれるかどうか、ダンボールの調達は短時間でできるか、そこのところを考慮に入れて決めます。私は輪行袋派です。荷造りは結束バンドでグラグラしないようにきっちり締めます。取り外しが簡単で再利用できるリピートタイプの結束バンドを使います。 自転車は自転車だけでなく他の荷物もありますので、15kg近くなることがあります。駅の構内の長い区間を自転車を担いで歩く際、必ず肩からベルトがずれます。これを防ぐためにリュックサックの肩の部分にコブを作っておくと、いちいち戻さなくてよいので便利です。 |
D航空機輪行のサイズ、重量制限 航空会社によって受託手荷物の大きさに制限があります。逆に自転車の方も分解可能制限があります。ホイールの大きさとフレームの長さ、この縦横のサイズより小さくすることはできないのです。 JAL、ANAなどは三辺の合計が203cmで、大体の自転車はこれで収まります。 E分解、組立場所の選定 どこででも分解組立ができるものでもありません。人通りの少ない、腰掛けなどのあるところが安心してゆっくり作業ができます。駅の近くに公園などがあればそこでゆっくり落ち着いて分解・組立ができます。例えば羽田などは天空橋駅まで来て、そこで出て、組み立てたり、逆に分解荷造りしたりします。あらかじめストリートビューで見て予定を立てておくのがよいと考えます。 分解時。組立時に使った工具類は、またすぐ使う場合でも絶対にそこら辺には置かず、その都度袋に戻すようにして深じまい、置き忘れを防ぎます。 |
海外輪行は少し勝手がちがう。日本国内空港の係の人たちは、扱いがとても丁寧です。しかし、海外はそうではないようです。投げても落としても大丈夫な荷造りをします。また、持ちやすいようにしておけば、扱いも幾分丁寧になるでしょう。 F自作荷造り手順書 航空機輪行、特に海外へ行くときは、持ちやすく、運び安く、投げでも壊れないように、できるだけ軽く小さくなるような形に するために、部品の固定場所の研究と、毎回同じ組立方になるように、図付き手順書を作り、分解荷造りを繰り返し繰り返し練習しておくと、もたもたせずに安定した作業ができます。どんなことでも、練習しておけば、実際に行ったとき、速やかに作業ができます。 ここまで色々書いてきましたが、足の運動を除けば自転車はオートバイには勝てません。そのスピードといい、運べる荷物といい、1日に走れる距離といい、天と地の差があります。ところが航空機輪行を使ったとき自転車ははじめてオートバイに勝てるのです。オートバイを飛行機に乗せるのは至難の業です。国内なら飛行機で飛ぶところをオートバイなら自走で行けるではないか。ということですが、しかし、海外に行くとなったら別便で送ることになり、そして運賃も発生します。無料の手荷物として持っていける(航空会社によっては別料金を取るところもあります)自転車輪行で旅行すると、現地での交通手段に困りませんし、飛行機で行った先でさらに電車輪行すれば、さらにさらに、行動範囲は細かく広くなります。 |
↑航空機輪行用に作りあげた輪行袋に入れる直前のロードバイク自転車の様子です。ハンドルと前輪フォークをはずすと、ずいぶんシンプルになります。 大きな段ボール、ハードケースに入れて空港までの運搬に苦労するのはいやなので、私は輪行袋で簡単に運びたい。なので、投げても落としてもよいように完全に分解します。 このように完全に分解荷造りしてしまった荷物は、まあ、組み立てるのはそれほど時間はかからないのですが、逆に帰りに再び荷作りするとき、ホテルなどでは時間をかけてゆっくり作業できますが、道端、公園などで作業すると、ホイールの挟みこみ位置など微妙に問題になってきて、何度もやり直しが起きてきます。なので、固定位置をしっかり決めて手順書にして、現地で頭を抱え込んでしまうことがないように何度も練習しておくべきです。 この後、キャンプ用のマットでホイールを挟みこみ、輪行袋に入れます。 そしてパスポートとクレジットカードを持って、スマホに地図を読み込み、地図アプリで移動ルートを作り、立ち寄るところをブックマークでしるしをして(この作業で半年はかかります)、wifiの用意をして成田空港に向かいましょう。 |
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